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2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震では、延長1km、厚さ80mの岩体が350m滑走し、対岸に衝突し乗り上げて停止した。ボーリングコアの観察解析の結果と、先端部露頭(左)ですべり層が角礫を保存ていること、移動体岩盤の亀裂に注入していることに注目し、当社では高速すべりのメカニズムがすべり面液状化であると提唱した。
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湖を南北に縦断する断層の西側は海洋プレートの緑色岩、東側は新第三紀の堆積岩が分布。チミケップ川左岸の2kmの地すべりが、対岸斜面に数100m乗り上げている。移動体の途中を新しい川が切り裂いて鹿鳴の滝を造っている。埋木片の年代から1.3万年前の発生とされる。
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2014年、礼文島で厚い周氷河性斜面堆積物がすべり、2名が亡くなるなど甚大な災害が発生した。一見段丘地形に見える緩斜面は、海成段丘の上に20m以上の厚さで堆積した周氷河性斜面堆積物の堆積面である。当社では、周氷河性斜面堆積物が北海道を中心に広く分布し、これまで認識されていなかった災害リスクであることを明らかにした。右の写真は淘汰されていない角礫とシルト砂からなる周氷河性斜面堆積物の典型的な層相。明色の薄層は融解で水が流れてできたウオッシュ堆積物。
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頭部から末端まで地上の延長は6km以上と北海道で最大規模であり、札幌市街地に近接する。発生時の末端は、海水面が低下期のためさらに遠方にあった。5万年前に発生し、地震が誘因と考えられている。当社が初めて全容が岩屑なだれ(高速地すべり)地形であると提唱した。岩屑なだれに特有な流れ山は、開発によってほとんど失われている。岩屑なだれは停止した後再滑動はしないと考えられている。