技術部測量設計科主任
奴田原 健Ken Nutahara
1990年、札幌市生まれ。
北海道工業大学(現:北海道科学大学)
空間創造学部都市環境学科卒業。
工業大学へ進学したのは、高校の友だちに誘われたから(笑)。彼には建築士になるという明確な目標がありましたが、僕には将来なりたい職業は特にありませんでした。
空間創造学部は土木系の色が強い学部でしたが、道路や橋梁の設計から、まちづくり、砂防や魚道まで幅広い領域を学ぶことができ、そこで得た知識は入社後に役立ちました。ゼミはコンサルティングにも踏み込める研究室を選び、北海道開発局の寒地土木研究所と協力して研究した「アイトラッキング技術を利用した道路景観の改善(※)」をテーマに卒業論文をまとめました。
僕が就職活動をしていた頃は、工学系は就職氷河期から抜け出ていて、大学には多くの求人票が来ていました。僕はコンサルタント企業に的を絞り、転勤がないことを条件に就職活動を進めていました。当時の交際相手(いまの妻です)が、転勤族の家庭で育ったことから、転勤がない会社がいいというので、そうだねと(笑)。
ゼミの先生からは農業系コンサルの会社も紹介されましたが、僕は当社の業務領域の広さに魅力を感じ、他社は一社も検討しませんでした。学生時代に森林や地質を専門に勉強してきたわけではないですが、もともと自然に興味があったことから、特に森林や治山の仕事に携われる点にひかれました。
入社した年に、函館市恵山地区の現地調査に入りました。海岸線沿いに人家が建ち並ぶすぐ裏側、約200mにわたって落石が発生しているということで、会社で地図や空中写真等を調べると、該当地区は岩盤地質であることがわかりました。
その情報を頭に入れて現場に着くと、問題の場所は傾斜が50~60度もあり、まるで断崖絶壁。ササヤブを分け入り、斜面を上がっていくだけでも容易ではありません。しかも、自分の動き方によっては石を余計に落とし、その石が人家に当たるかもしれないという緊迫感があり、いきなりすごい現場に出されたと感じました。
コンサルティングの仕事は、デスクワークがメインだと思っていました。でも、当社はフィールドワークが結構多く、採用面接で、「仕事で山に入りますが、大丈夫ですか」と聞かれた理由が腑に落ちました(笑)。
当社は、地すべり調査、斜面解析、一般地質調査、土質調査、測量、森林土木・その他設計、森林整備計画、生態系保全調査と業務分野が広いため、一人の知識だけでは業務をまっとうできないことも早くに理解できました。得意分野を持った専門家との協力・連携が不可欠ですから、チームワークを大事にする気持ちの重要性を常に感じています。
先輩からの指示を待たずに、自分で考え、動けるようになったのは入社3、4年目頃。同じ現場は二つとないのですが、それまで積み重ねてきた経験と照らし合わせて目の前の現場を見ると、「枝葉は違うけれど、本節は前のあの現場と同じだな」と気付けるようになっていました。
先輩一人ひとりがそれぞれに専門技術を持っていますから、どの先輩たちとチームを組めばいいかという構図も描けるようになったのもこの頃です。それからは、僕が所属する測量設計課の仕事だけでなく、もう一つのセクションである調査課の業務内容の知識、理解を深め、仕事の進め方も学びたいという気持ちが強くなっていきました。
2018年、入社7年目に北海道胆振東部地震が発生し、僕は厚真町に向かいました。地震による災害現場に足を踏み入れたのは初めてで、常識的に考えれば崩れるはずのない場所まで崩れている様子を見て、地震の規模と被害の大きさに驚きました。また、あちこちに花がたむけられているのを見るたび、胸が詰まりました。
札幌などのマチにいると、山や斜面を遠く感じ、治山の仕事の重要性がピンとこないことがあります。しかし、あの風景は、僕たちの仕事がインフラを整え、人命や財産を守る重責を担っていることを強く突き付けてきました。改めて、使命感を奮い立たせてくれた、忘れられない現場です。
会社を選ぶにあたっては、大きな会社か小さな会社かで迷う人が多いのではないでしょうか。僕の個人的な意見ですが、部分に特化した仕事をしたいなら大手、トータルに業務に携わりたいなら中小規模の会社が合っていると思います。
学生だった頃の僕は、会社で働くということは、決められたことを歯車のようにこなすことと思い込んでいました。でも、当社はそうではなく、社歴にかかわらず自分の意見が求められますし、誰の意見であれ、良ければ通ります。つまり、自分で、自分が働く会社を変えていくことができるということです。
新しいもの・ことを学ぶことを億劫がらない、やる気のある人なら楽しめる会社です。僕もそうだったように、スキルは入社後に培うことができます。自分の望む働き方を持った学生さんにこそ、当社に入りませんか?と声をかけたいですね。