CASE 05
河川の攻撃斜面に当たる人家裏の急斜面は、岩盤の上に段丘礫と火山灰層が載っていたが、段丘礫層からの湧水が上部斜面の崩壊原因となることが分かった。そこで、湧水位置にH型鋼土留工を配置して排水と火山灰層脚部を固定するとともに、下部急斜面に法枠工を配置することで、崩壊対策と上部の林地保全を両立させた。
CASE 06
普段、常水のない渓流でも、大雨が降れば森林が荒廃し、大量の土砂が流出してJRや国道に被害を与えていた。治山ダムの設計では、流出土砂の制御に有利な位置、急勾配の緩和による後背斜面の安定が図れる高さ、袖部の安定が求められる。敷設直後の大雨の際には土砂の流出を抑え、被害を未然に防いだ。
CASE 07
ニシン漁が盛んな頃に伐採され失われた森林を、様々な工夫で水源涵養保安林などとしてよみがえらせたが、過密化し風倒被害が発生していた。ドローンのオルソ画像解析やGNSS測量と踏査で林相を把握し、範囲を確定させた過密森林に本数調整伐を計画・実施することで光環境を改善させ、残存木の成長や林床植生の回復を図った。
CASE 08
町の水道水の95%を賄う取水施設への土砂流入防止機能を併せ持つ治山ダムでは、水生生物の移動障害が問題となっていた。防災機能を確保しつつ、環境負荷軽減を図るために魚道を検討した結果、魚道設置形式は入り口が発見しやすい引き込み型とし、魚道構造は甲殻類や貝類などの移動環境を確保できる側壁を持つ台形断面型にして、多様な生物の移動を可能にした。